先日、無事なのか何なのかいろいろありながらも、愛犬2匹を連れて日本に帰国することができました。
海外から日本への愛犬連れでの帰国を考えている方のために、参考までに詳細を記しておきますね。
愛犬とフィリピンから帰国する際の注意点
出国よりも何よりも大変なのがこの帰国なので、まだ帰国を考えていないという方も、早い目に見ておいて損はありません。 愛犬を連れての帰国で何が大変なのかというと、日本の動物検疫の手続きが面倒なんです。
私の場合はフィリピンから日本への帰国というのもあり、さらに大変だったのかもしれませんが、農林水産省動物検疫所の発行する日本への輸入の手引きに記されている内容では、アイスランド、オーストラリア、ニュージーランド、フィジー諸島、ハワイ、グアム以外の国から日本へ輸入する場合には様々な手続きが必要となります。
日本入国に際して絶対に必要となる手続き
・マイクロチップの装着
・狂犬病の予防接種
・狂犬病抗体検査
・日本の動物検疫所への事前届け出
・滞在国での健康診断
・滞在国での輸出証明書の取得
・航空会社への連絡
上記内容はどれか一つでも足りないと日本への愛犬の入国は拒否されてしまいます。
さらに、最低でも半年前から準備しておかないと日本への帰国ができなくなってしまいます。
詳しくは農林水産省 動物検疫所発行の書類の中に記載されていますが、正直私はこの内容を理解するのに時間がかかりました。http://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/pdf/guide_nonfree.pdf
書いてある内容が分かりにくいんです…
帰国準備その1:マイクロチップの装着
日本へ帰国することを想定して海外に渡航する場合には、マイクロチップの装着が必須になるので、私は日本出国前に愛犬にマイクロチップを装着しました。
日本の動物検疫所ではISO規格のマイクロチップが採用されているので、海外でマイクロチップを装着する場合はISO規格のものかどうか注意が必要になります。
マイクロチップの詳細については『間違いだらけ?犬のマイクロチップを知ろう』にも記載してあります。
帰国準備その2:狂犬病の予防接種
日本の動物検疫所では日本に狂犬病を持ち込まないためにいろいろと対策をとっているので、狂犬病の予防接種は必須になります。
ここで注意しなければいけないのが、狂犬病の予防接種はマイクロチップ装着後最低でも2回は行っていなければいけないということです。
狂犬病の予防接種は最低でも30日を開けていれば打てる注射です。
日本で採用されている狂犬病の予防接種のワクチンは基本的に1年で切れてしまうものが多いので、30日以上1年未満に摂取したワクチンを1回目と考え、1回目のワクチンが切れてしまう前に2回目の狂犬病ワクチンを打つことが必要になります。
私の場合は日本でマイクロチップを装着した際に、同時に狂犬病の予防接種を打ってもらいました。
その時点ではいつ帰国するという目途はたっていませんでしたが、もしも1年以内に帰国する場合のことを考えたのと、フィリピンは狂犬病が多い国なので用心したかったという気持ちがあって予防接種をうけました。
帰国準備その3:狂犬病抗体検査
ここからが少し面倒な手続きになります。特にフィリピンに住んでいた私にとっては大変でしかありませんでした。
狂犬病抗体検査とは、狂犬病の予防接種を受けて実際に狂犬病に対する免疫力ができたかどうかを調べる検査になります。
この検査はどこでもできるわけでなく、世界数か国でしか行えないものです。
血液検査の血液採取自体は普通の動物病院であればどこでも行ってくれます。
しかし、抗体液ができているかどうかの検査は世界数か国に設置されている検査機関でしか行えません。
どこで行えるのかはこちらでチェックしてください。
http://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/lab.html
さらにこの狂犬病抗体検査は2回目の狂犬病予防接種が終わってからでしか行うことができません。
2回目の予防接種と同時に私はフィリピンの動物病院で狂犬病抗体検査用の採血を行い、その血液から血清を0.5lU/ml以上作ってもらいました。
さらに病院で抗体検査に必要となる書類の記入もしてもらいました。
畜産生物化学安全研究所
私の場合は狂犬病抗体検査を受けるのに、日本の検査機関でお願いしようと考えたため日本にある畜産生物化学安全研究所というところにメールでまず連絡しました。
検査の申し込みをすると、検査を行うために必要な書類をメールで送ってくれます。
必要な方は下記資料をダウンロードをしてください。
さらに日本で検査を行うためには血液を日本に送るための許可を事前に動物検疫所に取る必要があります。
これも事前に動物検疫所へ連絡をすると必要な書類をメールにて送ってくれます。
http://www.maff.go.jp/aqs/tetuzuki/system/pdf/applicationim-dog.pdf
http://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/pdf/dog-serum.pdf
狂犬病抗体検査に必要な書類は3種類
つまり、狂犬病抗体検査のためだけに必要な書類は3種類あるということです。
しかも、そのうちの2種類は動物病院で先生に記載してもらうことが必要になり、さらにCertificate for serum of dog(s) to be imported into Japanの書類の下半分には輸出国の動物検疫所などの政府機関に記入してもらう必要があり、証明書を発行してもらう必要があります。
私が住んでいたセブにある動物検疫所はどこにあるのかの情報がインターネットなどでもほとんど書かれてなくて、動物検疫所自体を探すのにも苦労しました。
やっと見つけた動物検疫所は空港にあったんですが、オフィスアワーが記載されていなくて、さらに1回目行った時には担当者不在だからと追い返されてしまいました。
2回目行った時も担当者不在だったんですが、「昨日も来たわね」と他のスタッフの人が覚えていてくれて、担当者がしばらく休暇をとっているからとそのスタッフの人がお情けで書類を作成してくれました。と、いうか担当者がお休みの場合は普通代理がいると思うんですが…
これだけでも大変ですよね。
国によっては血液の空輸ができないので注意
さらにフィリピンの場合はテロの影響などもあり、これだけ大変な思いをして用意した血清にも関わらず、空輸などの輸送が一切できなくてさらに困ってしまいました。
血清自体は冷凍保存できるので、血清を用意したからと言ってすぐにどうにかしなくてはというわけではないんですが、それでも古くなりすぎると抗体検査が行えなくなってしまいます。
ちょうど単身帰国を考えていた主人が手持ちで日本まで運んでくれて、動物検疫所で血液輸入手続きを行い、日本についてから検査施設に送ることができたので何とか検査は無事終わりましたが、本当大変でした。
その後しばらくたって、抗体検査施設からメールにて検査結果が送られてきます。
原本は郵送されるんですが郵便システムが整っていないフィリピンでは郵送物は届かないことが多いので、日本の実家に送ってもらい原本はフィリピンに戻ってくる主人に直接持ってきてもらいました。
大変さはまだまだ続きます・・・・
狂犬病抗体検査後は最低180日間の待機が必要
この狂犬病抗体検査後、すぐに帰国できるようになるわけではありません。
狂犬病抗体検査の採血をした日から、最低180日は愛犬たちの帰国は許されないんです。
もしも180日を待たずに帰国してしまった場合、日本の動物検疫所の係留施設に留置されてしまいます。
この抗体検査の有効期間は2年なので2年以内に帰国する場合は事前に済ませておくことをお勧めします。
また過去2年以内に抗体検査を行っていて、もう一度抗体検査を行った場合180日間の待機はしなくてもOKになります。
帰国準備その4:日本の動物検疫所への事前の届け出
180日の待機まで目前の頃、飛行機のチケットを考え出すくらいに日本の動物検疫所へ事前に連絡を行う必要があります。
日本帰国40日前までに到着予定空港の動物検疫所に申請を行います。
申請はオンラインで行うことができ、NACCSというシステムを利用して行えます。
http://www.maff.go.jp/aqs/tetuzuki/system/49.html
この申請自体は内容を記入していくだけなのでそこまで大変ではなく、オンラインシステム入力後、そこで表示される書類をプリントアウトすればOKになります。
その後、担当の空港から直接メールが届いてオンラインの申請書の受理に必要な書類の提出を求められます。
これらはすべて写メをとってメールで送ったので大丈夫です。
オンライン申請書の受理に必要な書類
・2回目の狂犬病予防接種証明書(ワクチンの種類、有効免疫期間が確認できるもの)
・狂犬病抗体検査結果証明書(畜産生物科学安全研究所が発行のもの)
・輸出検疫証明書(日本を出国する際に動物検疫所でもらった書類)
その後、オンラインの申請が受理され、日本帰国時に必要な書類をそろえるようにと連絡が来ます。
なんどもなんども面倒なんですけどね。全部求められる書類が毎回違うから。
メールで求められた書類は下記になります。
<<到着時に必要な書類について>>
空港到着時に提出していただく書類の原本は以下の通りです。
■フィリピン政府動物検疫機関発行の証明書(以下の内容が記載されているもの)
①動物の基本的な情報(動物種、品種、性別、生年月日又は年齢)
②マイクロチップ番号および装着年月日
※推奨証明書様式以外の様式を利用し、証明書が複数枚になる場合は全ての証明書にマイクロチップ番号の記載が必要です
③マイクロチップ装着後に行った全ての狂犬病予防ワクチン(接種年月日、有効免疫期限、ワクチン名およびメーカー)
④狂犬病抗体検査(採血日、抗体価、実施検査施設、採血実施獣医師及び住所)
※狂犬病抗体検査を2回実施している場合は、2回分の証明が必要です。
⑤出発前の健康診断で狂犬病(犬の場合にはレプトスピラ病も)にかかっていない、またはかかっている疑いがないこと■狂犬病抗体検査証明書
■届出受理書
帰国準備その5:滞在国での健康診断と輸出証明書の取得
メールで送られてきた帰国時に必要な書類を用意していきます。
狂犬病抗体検査証明書と届け出受理書は、帰国準備その3、その4で出来上がっているのでOKです。
問題は、「輸出国政府動物検疫機関発行の証明書」です。
ここでは①動物の基本情報、②マイクロチップ情報、③狂犬病予防ワクチン情報、④狂犬病抗体検査情報、⑤出発前健康診断を用意しなくてはいけません。
http://www.maff.go.jp/aqs/animal/dog/import-index.html
上記にある証明書様式のForm A、Form Cの4枚を記入すると①から⑤まで準備ができるようになっています。
健康診断は出発10日前頃に受けるように言われ、それからまた滞在国の動物検疫所へ書類を持っていき、Form A、Form Cの書類に全てサインとスタンプを押してもらい、出国証明書を発行してもらう必要があります。
日本の動物検疫所から書類に不備がないかチェックするから書類が用意ができたらメールで送ってくださいと言われましたが、型押しのシールと言われるスタンプは紙がボコボコとするタイプのもので写メをとってメールで送っても見えにくいものです。
それが帰国時にまさかトラブルの原因になるなんてこの時は思ってもいませんでした…
帰国準備その6:航空会社への連絡
航空会社のチケットを取得する際にペットが同乗できる飛行機かどうか調べていたので、飛行機自体には問題ありませんでした。
さらにチケット取得後、ペット同伴の旨も電話とメールで伝えたのですが、なぜか航空会社の電話オペレーターに現地の航空カウンターに連絡をしてペットがいる旨を再度伝えてくださいと言われ、わざわざ空港に行き「犬がいますよ」とだけ伝えに行くという手間がある程度です。
いざ、帰国!
帰国当日、空港で時間がかかることを見越して相当早い時間に空港に行きました。
案の定、セブの空港でトラブルにあい、主人と隣同士で取得していた座席を急に「犬連れだとシートを離れたところにしなくてはいけない」と言われてしまい、座席の変更を余儀なくされたり、クレジットを使える機器が故障してしまい愛犬の料金の支払いに相当時間がかかりました。
愛犬連れの出国自体は難なく行え、フィリピンから日本への帰国です。
日本へ到着!まさかの事態に・・・
日本に到着してからが大変でした。入国審査を終え、動物検疫所にて犬たちの手続きを行っていたんですが、なんと帰国時に取得した書類に押してもらった型押しのスタンプが、日本の動物検疫所に登録されているフィリピンのものと微妙に違う!と言われてしまったんです。
私としては、フィリピンの国が発行したものだからそれが違うと言われても、どうしようもないんですけどとしか言えない状態。
偽装したといわれても、れっきとしたフィリピンの動物検疫所で押してもらったものなので偽装を疑うこともできません。
動物検疫所の職員数名が出てきて確認作業を行いますが、押してもらったスタンプと全く同じものが出てこず…
間違えやすいスタンプというすごく似たスタンプもあり、フィリピンの動物検疫所のスタンプだけでも相当数。
結局、予定していた国内線に乗ることができず、係留措置ということで動物検疫所の別室に犬たちともども連れていかれてしまいました。
スタンプの押し間違えはたまにあることらしいけれども…
そこでも職員の方が一生懸命スタンプをチェックしてくれていたんですが、なんと押してもらったスタンプが家畜用のスタンプだということが判明。
セブ島の動物検疫所は実は家畜や農産物も併設していてすべて一緒に行っているので、スタンプを間違えてしまったのか、どれでも一緒と扱われてしまったのか、真相はわかりませんが、家畜用のスタンプだったため判明までに時間がかかってしまったんです。
フィリピンもフィリピンだけど、日本の動物検疫所もそこまで把握しておいてほしいというのが本音ですが…。
結局、国内線飛行機はすでに最終便まで終了してしまい払い戻しもできないため、プラスで新幹線代とさらに一泊宿泊の費用まで余分に払わなくてはいけない羽目に。
それでも、犬たちが長期係留措置にあわなくてよかったんですけどね。
日本への帰国準備から帰国までフィリピンならではのこともありますが、いろいろと手続きが大変なのは間違いありません。
国によってはその国の動物検疫所に提出しなくてはいけない書類などもあるところもあるので、事前にチェックしてしっかり準備を備えることをお勧めします。